【人生100年時代の攻略法】若者が進路選びの前に知っておくべき5つのポイント【学校で使えるキャリア教育講座】

人生100年時代 キャリア教育

人生100年時代ってよく聞くけど、私たち若者にどんな影響があるの?何をしなきゃいけないの?

なんて疑問に答えます。

本記事では、人生100年時代と言われる今、若者が進路選びの前に知っておくべき5つのポイントをご紹介していきます。

この記事を書いている人

中村

こんにちは。キャリア教育の専門家として活動している、中村です。(プロフィールはこちら

この記事では、10代・20代の若者に向けて、進路やキャリアに関する役立ち情報を発信しています。

学校のキャリア教育にも活用できますので、先生方も自由にご活用ください。

なぜキャリアの勉強が必要か?

昔と比べて、今の若者の進路選びはとても難しくなりました。

大人たちのルールが通用しない、正解のない時代です。

また、誰でも情報を発信できる時代になったことで、世の中にはデタラメで間違った情報があふれています。

いま必要なのは、時代や社会の変化を踏まえた客観的で正しいアドバイスです。

本記事では、キャリア教育の専門家として、できるだけ正しい情報をお伝えしていきます。

ぜひご活用ください。

人生100年時代のポイント1 働く時間が長くなる

人生100年時代の1つ目のポイントは、働く時間が長くなるってことです。

10代・20代のみなさん、

皆さんは、自分自身が何年間働くか、考えたことはありますか?

法律上は60歳が定年ですが、

寿命がどんどん延びているこれからの未来では、60歳で引退するってのはあんまり現実的じゃないですよね?

仮に100歳まで生きたとしたら、老後の生活は40年間もあるんです。

40年間も仕事をせずに生きていくのは、

お金の面でもかなり無理があるし、

まだまだ働きたいって人も多いはずです。

では、これまでの大人たちが「実際に何歳まで働いているか?」というデータを見てみましょう。

こちらのデータが、総務省の国勢調査で公表されている「平均引退年齢」です。

これを見ると、2021年現在の引退年齢は70歳くらいです。

つまり、法律上は60歳が定年だけど、実際の引退年齢は70歳くらいっていうのが今の平均的な働き方だっていうことですね。

平均引退年齢グラフ
平均引退年齢 実測値:総務省国勢調査2015年 予測値は筆者計算

(こちらの話は、くわしくは以下記事で解説しています)

そして、引退年齢は少しずつ伸びているので、

このままのペースで伸びていけば、今の若者の引退年齢は75歳前後ってことが予想されます。

つまり、だいた20歳くらいで就職したとすれば、働く期間は55年間ってことです。

そう、55年労働時代がやってきたんです。

ですから、今の学生の皆さんは、「55年働く」という前提に立って進路を選ぶ必要があるんですね。

人生100年時代のポイント2 転職が当たり前になる

人生100年時代の2つ目のポイントは、転職が当たり前になるってことです。

働く期間が長くなったってことは、

当然、転職などのキャリアチェンジの機会も増えるっていうこと。

ここで問題です。

「1つの会社で働く期間は平均で何年くらいでしょうか?」次から選んでください。

  1. 約10年
  2. 約20年
  3. 約30年
  4. 約40年
  5. 約50年

正解は約10年

「平均勤続年数」といって、世の中の人が1つの会社で働く期間はだいだい10年だと覚えておきましょう。

ちなみに、「会社の寿命」は平均で20年で、

「55年働く」ことと比べるとすごく短い期間になります。

55年労働時代 会社の寿命 平均勤続年数

こうしてみると、1つの会社で一生働くなんて、ほとんど「無理ゲー」なんです。

この数字は、将来的にはもっともっと短くなると予想されています。

ですから、これからは何度も転職したり、もっと言えば雇用に縛られない働き方(=ギグ・ワーク)がもっと増えていきます。

今までの学校教育や社会の仕組みは、「一生1つの会社で働くことを前提」に作られてきましたが、

それだけではもう対応できません。

これからは、「転職などのキャリアチェンジを前提に進路を選ぶべきだ」ってことを肝に銘じておきましょう。

人生100年時代のポイント3 自分の価値を高めること

人生100年時代の3つ目のポイントは、自分の価値を高めることです。

終身雇用が前提だったひと昔前は、就職するタイミングは学校を卒業した時の1回きり。

でも、今は転職が当たり前の時代ですから、

就職活動だけでなく、何度も転職活動することが普通です。

だから、自分が転職・副業・独立などをするときに、その市場で評価されるための「市場価値」を高めておくことが大事。

この考え方を、ブランディング(=価値を高める)とか、エンプロイ・アビリティ(=雇用される能力をつける)なんて言います。

ここで、転職の現実をお伝えしておきます。

転職って、やっぱり20代の若いうちが有利で、30代、40代と年齢を重ねるとどんどん価値が下がっていっちゃうんです。

下の図は転職の価値が「経験」と「年齢」の掛け算で決めることを示した図です。(今度出版する本で解説しています)

転職市場での価値と経験

28歳くらいをピークに、価値がどんどん下がっていく。

30歳以降のキャリアチェンジって、やっぱり厳しいんです。

だからこそ、自分の価値を高める努力をしない人は、ほんとに厳しい!

ほとんどの大人は、学校を卒業すると勉強しなくなったり、新しいことに挑戦しなくなったりしていきます。

そうではなく、社会人になっても学び続けたり、スキルを身に着けたり、行動したりする必要があるんです。

こうした姿勢は学生時代からしっかり身に着ける必要があって、

次のような人は、やっぱり厳しいです。

  • 自分から学ぼうとしない人
  • 与えられた勉強をただこなす人
  • 向上心がない人

逆に、こんな人は成功しやすくなります。

  • 自ら学ぶ積極的な人
  • どんなことでも糧にする人、工夫して学ぶ人
  • 向上心があって挑戦する人

ですから、今のうちから、自分の価値を高める努力をしていくことが、とても重要なんですね。

人生100年時代のポイント4 今の価値観にこだわりすぎない

人生100年時代の4つ目のポイントは、今の価値観にこだわりすぎないことです。

皆さんは、これまでの人生で、大人からこんなことを言われませんでしたか?

「あなたの夢は?」

「将来何になりたいの?」

でも今の時代は、仕事がどんどん変わる時代だし、

1つの仕事にこだわる時代じゃないんです。

だから、夢ややりたいことなんてなくたっていいし、

10代20代のころの価値にこだわりすぎなくたっていいんです。

今の大人たちの世代は、転職なんて考えられなかったし、仕事を1回しか選ぶことができませんでした。

就職で失敗したくない!

変な会社に入りたくない!

そう思うのは当然ですよね?

だから今の大人たちは、「できるだけ自分に合った仕事を選ぼう」と言われて育ってきました。

この考え方を「人と職のマッチング」と言って、学校現場で一番多く使われているアドバイスです。

でも、このマッチングという考えは、実は100年以上も昔に考えられた方法で、

変化の激しい現代では「この考え方は危険!」と、多くの専門家が指摘しています。

特に、これから50年以上働く若者にとっては、

10代20代の価値感で仕事や人生の方向性をガチガチに決めなくたって大丈夫です。

今の価値観にこだわりすぎない方が良い

これが、これからの進路選択のスタンダードなんです。

人生100年時代のポイント5 「安定」より「成長」を選ぶ

人生100年時代の5つ目のポイントは、「安定」より「成長」を選ぶってことです。

先ほど話したように、昔の職業選択は1回きり。

だから、

「できるだけ給料が高い方が良い!」とか、

「つぶれる心配のない大企業に入りたい!」とか、

「働きやすい職場がいい!」って思うのは当然ですよね?

ですから、今の大人の世代にとって「安定した仕事を選ぶ」ってことはもうめちゃくちゃ大事だったんですね。

でも、今の時代は大企業でも安定とは言えないし、

転職して職場を変えるのが当たり前。

そもそも、仕事や雇用の在り方そのものが変化しています。

これから変化の激しい社会を55年間も働くのですから、安定を最優先に仕事を選ぶのはもう時代遅れと言って良いでしょう。

(公務員だって安定じゃないです。詳しい話はこちらの記事で解説しています)

では、安定以外にどんな基準で仕事を選べばいいのでしょうか?

多くの学生を見てきて分かったことは、仕事選びの基準は大きく次の3つに分類されるってことです。

  1. 安定・・・給料が良い、会社や身分が保証されている、働きやすさなど
  2. 貢献・・・人の役に立ちたい、社会に貢献したいなど
  3. 成長・・・成長したい、スキルアップしたい、えらくなりたいなど

この中でも、これからの時代に必要なのは、「成長」できる環境を選ぶことです。

図にするとこんなイメージ。

仕事選びの価値観の変化 安定貢献成長

これからはキャリアチェンジが当たり前で、自分の価値を上げていくことが必要な時代です。

特に若いうちは、安定よりも成長できる環境を選ぶことがセオリーといえます。

今の親世代と子供世代では、仕事選びの価値感に大きなギャップがあるので、世代の大人たちはこの点に十分注意しないといけないですね。

もし皆さんの親や周りの大人が「安定した仕事を選べ」と言うタイプだとしたら、ぜひこの記事を見て、一緒にキャリアについて考えてみてください。

まとめ

本記事では、人生100年時代と若者の進路選びという視点で、重要なポイントを紹介しました。

まとめ

人生100年時代と言われる今、若者が進路選びの前に知っておくべき5つのポイント

  1. 「55年働く」という前提に進路を選ぶ
  2. 転職などのキャリアチェンジを前提に進路を選ぶ
  3. 自分の価値を高める努力をしていく
  4. 今の価値観にこだわりすぎない方が良い
  5. 「安定」よりも「成長」できる環境を選ぶ

それでは、ありがとうございました。