開催報告:高校教員向け生成AI・ChatGPT活用研修@浜松工業高等学校様
こんにちは、AIキャンプの中村です。
このたび、「高校教員向けの生成AI・ChatGPT研修」というテーマで、静岡県立浜松工業高等学校様で、AI研修を実施させていただきました。
わたくし中村自身が元高校教師ということもあり、このようなチャンスをいただき感謝です。
お招きいただきました野﨑校長先生、受講いただいた皆様、ありがとうございました!
このブログでは、実際に高校現場でAI研修をした感想と、いただいたアンケートの紹介と回答を紹介させていただきます。
教育現場でAI研修を実施した中村の感想
今回、高校現場で実際に研修をしてみて、感じたことを整理しておきます。
1、教育におけるAI活用ポテンシャルは凄まじい!
まず第一に、教育におけるAI活用ポテンシャルは凄まじい!という点です。
授業案の作成、楽しい説明文、AI家庭教師と…教育現場では、業務改善や教育の質向上に使えそうなAI活用事例が非常にたくさんあります。
先生という仕事は、これからAIで大きく変わってくるだろうなぁと、改めて感じる時間となりました。
おそらく、海外や民間の学習塾・家庭教師・英会話教室などで影響が出始め、公教育にAIが導入されるまでには時間がかかるとは思います。
また、これからAIが当たり前の世界を生きる10代の子どもたちの未来を考える上で、AIは無視できないテーマとなっています。教育×AIというテーマで、より真剣に考えるフェーズに来ていると感じました。
個人的には、教育がAIでどのように進化していくか、とてもワクワクしています(^^
2、先生のココがすごい:AI活用のアイデアがどんどん出てくる!
2つ目に感じたこととして、やっぱり先生方はすごい!という点です。
「これは授業作りに使えそう!」、「教科指導のココに使える!」など、ChatGPTの活用アイデアが次々に出てくるのは面白いなぁと感じました。
業種・職種によりますが、民間企業ではなかなか見られない光景でした。
この理由はおそらく、高校教師という仕事が、「創造性の高い仕事」だからだと思います。
ChatGPTの最大の能力は、検索性でも、正確性でもなく、創造性です。「授業案の作成」や、「生徒の課題の添削」など、日々創造的な仕事をなさっている先生という職業は、きっと生成AIと相性が良いんだろうなぁと感じました。
よく、「AIで仕事がなくなる」「AIで仕事が代替される」と言いますが、教師にとっては、「AIが相棒になる」イメージが湧きやすいのだと思います。
3、課題感:ノウハウの横展開
一方で課題もあり、学校現場に、「ノウハウを横展開する風土や仕組みがあるといいなぁ」と感じました。
私自身もそうだったのですが、先生って、かなり「個人プレイ」なんですよね(笑)。
授業のやり方とか、テスト問題とか、部活の指導法とか、そういったノウハウを他人と共有する風土や仕組みが少ないんですよね。仲の良い先生ならまだ相談できますが、他校や他県の先生の事例となると、知る機会がほとんどないのが、私が教職時代にも抱いていた課題感です。
今回のAI研修でも、「AIに詳しい先生と、全く知らない先生で、差が激しいのかな?」と感じました。「学校あるある」なのかもしれませんが、せっかく有効なユースケースを持っている先生がいるのに、そのノウハウが横展開されていないことは、組織としてもったいないですよね。
逆に言えば、「組織内で具体的な活用例を共有する仕組み」を作ると、より成果が出ると思います。
※なので、弊社ではまず「AIリーダー(担当者)をつけましょう!」とお伝えしています。やはり、ここがファーストステップです。
AIリテラシーの向上、具体的な活用例の共有、適切なツール導入と、課題はいくつかありますが、しっかりと取り組むことで、成果が出そうだなぁと感じます。
以上、中村の個人的な感想です。ぜひ参考になさってください。
いただいたアンケートおよび回答
満足度91%(32/35)でした!ありがとうございます。
※一部厳しいコメントもありがとうございます、次回への改善とさせていただきます。
赤字で、質問への回答をさせていただきます。
【気付きや、ご意見・ご質問などあればお聞かせください(一部)】
- プロンプトの基礎、どう書くとGPTが答えやすいのか、こちらが求めている答えが返ってきやすいのか、というイメージが持てたことがよかったです。
- チャットGPTはサポート的なものであるという役割を、教員も生徒も意識して活用していきたいと思った。時間がない中での朝の打ち合わせ事項の時間短縮に活用できないか、試行していきたい。
- 基本的なAIの使い方などを学ぶことができた。
- 自身の教科指導、部活指導に応用し、活用できるようにさらに学んでいきたい。
- ありがとうございました。ChatGPTのような生成AIは今後活用していかなければならないし、それに伴って自分自身の意識を変えていかなければいけないことがよくわかりました。
- ChatGPTで遊びながらうまい活用方法を検討していきます。
- テンポ良く、これまでの講演実績が物語っているように、とても分かりやすい言葉でご説明いただきました。多様なレベルの参加者にとっても一定の高評価を得ているように感じています。実際にはどうだったのかアンケート結果も気になりますが・・・先生方には忌憚のないご意見をお書きくださいとお願いをしました。確かに2時間では難しかったかもしれませんが、おかげさまで、そこを中村先生が調整してためになる研修会を行っていただけました。本当にありがとうございました。今後のますますのご発展をお祈りしております。
- 各生成AIの有料版の料金体系の紹介があるとよかった。カスタムAIの作り方やAPIを利用したプログラム開発にも触れてほしかった。→(中村回答)ありがとうございます!時間があればぜひともお話ししたかったのですが、今回は入門研修でしたので、泣く泣くカットさせていただきました。よりハイレベルな内容を希望の場合はご依頼ください!
- キーワード入力で、検索エンジンのようにスペース区切りと、研修で教わった改行入力との違いはありますか。→(中村回答)通常のプロンプトであれば、あまり気にしなくて大丈夫です!
- 今回チャットGPTに初めて触れたのですが、とても分かりやすく、今後の保健室経営や保健管理に生かしていくことができると感じました。時間の削減や新たな知識理解にも優れていると感じたので、サポートをしてくれるツールとしてうまく活用していきたいと思います。
- 個人的には、教員としてプレゼン方法がとても参考になりました。やはり、様々な方に話しをしてきている経験値が違いますね!ありがとうございました。
- 研修に参加し、大変有意義で勉強になりました。ありがとございました。
- chatGPTは、これまで検索的な利用しかしておらず、機能を全然生かせていなかったと分かりました。実際にこう使う、という実例を幾例も体験させていただき非常に有意義でした。講座のあとすぐ、インターンシップ先の企業に送るメールの文章案をさっそくchatGPTを利用して作ったのと、授業のアイデアを提案してもらったりしてみました。よりchatGPTを使いこなすためには、こんな場面でこんな使い方がある、という教育業界での実践例(プロンプト例)を調べて使ってみようと思います。
- 正直に書きます…参加する意味がなかったです(楽しくは過ごせました)。あのレベルの研修会ならYouTube動画で事足ります。生成AIを学校現場に活かす画期的なアイディアを期待していましたが残念です。ただ、回りの反応を見るとあの内容でもよかったのかなと感じたりもします。レベルごとに分けていただけたら大変ありがたかったと感じますし、他の教員とも話題になりました。内容以外で…なかなかない全日制の先生方との研修会だったので少しくらいは交流ができたら嬉しかったです。→(中村回答)貴重なご意見、感謝申し上げます。YouTubeなどで独学で習得いただいている方にとっては、易しい内容だったかと思います。今回は入門レベルで実施させていただきましたが、よりハイレベルな内容を希望の場合は(弊社に限らず)ぜひご検討ください。
- AIの利用方法について知ることができました。「よく切れる包丁があっても、おいしい料理が作れるとは限りませんよ。良い材料を見極め、包丁を使いこなすこと。さらに、料理人としての腕を磨いていくことが大切ですね。」とチャットGPTが教えてくれました。
- リモート学習が進んでいくと対話している相手が実際の生徒(または先生)なのか、わからない時代になるのだと思いました。ありがとうございました。
- オブラートに包んで申し上げますと、まるで情報商材屋と話をしている印象を受けました。それは、質問に対して真摯に答えているようで、実際には答えていない、という場面が散見されたからです(以下略)。→(中村回答)貴重なご指摘ありがとうございます。不愉快な印象を与えてしまったこと、質問への回答が不十分だったことについて、今後改善させていただきます。
- どのようなものか知りたいと思っていたところの要求を満たしてくれた
- AIの具体的な使い方がわかった、画像の生成方法や図面の生成などより具体的な使用方法もしりたくなった
- 自分専用のAIフォームを作成するにはどのくらいの作業を行わないとならないのでしょうか?→(中村回答)作るだけなら20分もあれば十分ですが、本格的に実務に活用したい場合は、20~40時間程度の研修を推奨しています(業務内容やスキルによります)。AIやエンジニアリング、各業務への深い理解があると、より高度な実装も可能になります(キリがないのですが)。
- ChatGPTが、否定的な質問に対して、同調することなく反対の意見も返答してくるところが凄いと感じました。
- AIについていろいろな経験値の教員がいる中で、私のような超初心者でも分かりやすく、その中でも、ここまでできるようになっているという紹介もしてくださり、大変参考になりました。単なる検索ソフトとの違いがよく分かりました。でも、上手く活用するためには、コツも必要になってくると感じました。
- 子ども達も当たり前に使っていく世の中になり、便利になるとともに、教員の役割や意義も変わってくるのかなあと感じました。
- いろいろな面でこれから社会が変わっていくと思う。興味深く参加させていただきました。
- まさに大きなイノベーション、歴史的な転換期と強く感じた。実際にどのような活用ができるのか把握し、業務の効率化を考えれば、企画、計画、授業など、よりクリエイティブな業務に期待できると感じた。
- いろいろな可能性があることを実感しましたが、使う側の利用の仕方、投げかけ方、情報のアンテナの高さなどが必要であることも実感しました。
- 一度しか使ったことがなかったので、どのような機能があるかわからなかったのですが、概ね理解できました。ありがとうございました。もう少し使ってみようと思います。情報漏洩には気を付けたいと思います。
- 大変興味深く楽しく学びました。と同時に、自分自身の遅れた意識と知識と技術を目の当たりにしました。ひとまず、ChatGPTに関する本を買いました。
- 生成AIの有効な使い方を学習することができ、これまでの使い方を見直す機会となりました。今後のAIの発展に伴ってさらに時代も変化していくと思うので、この分野に関する情報収集の必要性を強く感じました。
- もう少し要録とか実際の活用方法をやってほしかった。
- ChatGPT(AI)の入門編として十分な講座だったと思います。AIガ正解を出すものではなく、確からしいものを提案してくれるツールというこがよくわかりました。ありがとうございました。
- chatGPTは日々環境が変化していると思いますが、その中でもいまできるいくつかのパターンで演習ができたことは良かった。
- AIを同僚やアドバイザーとして考え活用するというのは、「AIは間違っている場合もある」とか「AIは一般的回答であって、ケースバイケースでとらえる」といわれるより、AIのアドバイスが自分に合っているか考えやすく活用しやすくなると思いました。
- ITには抗えないことを痛感させていただきました。
- 県教委からは、生成AI使用における禁止項目についての文言が多かったのですが、先生の講義で用途の可能性を知ることができたので、とても勉強になりましたし、意欲も湧いてきました。ありがとうございました。教員の業務で使用可能範囲を示していただけたのがとても分かりやすかったです。さっそくあの後に使ってみて、2学期の授業のブラッシュアップができました。
- Society 5.0(Industry 5.0)時代が来た感じです。ChatGPTを使っていきたいと思います。
- 面白かったですが、「変わらないものが常にある場所」としての学校の大切さも痛感しました。
- chatGPTに触れる良い機会となりました。ありがとうございました。
【今後のご要望などあれば教えてください(一部)】
- プログラムまで作ってくれるとなると、何のために学習するのか?学校に来る必要があるのか?学校の役割についてその位置付けを再考する必要性を感じた。→(中村回答)おっしゃる通り、AI時代にどのような教育をするべきか?は非常に重要なテーマかと思います。
- 今回の続きをお願いしたいです。
- 今回をきっかけに、様々な要望が先生方からも上がってくるのではないかと思います。終わりにご相談しましたように定時制の課題もあります。全日制の教職員に対してももっと積極的に働きかけて個別最適化、学科、教科横断的取り組みにもどんどんAIを活用していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。→(中村回答)今回の件で強く感じたことですが、民間の企業と比較して、学校の先生方はたくさんの活用アイデアをお持ちだと思いますし、ものすごく高いポテンシャルを感じました。ですので、「こういう使い方がいいね」というユースケースを、校内や先生同士で共有し、『横展開していく』という進め方も有効かと感じました。
- 画像や動画系の生成AI、音声生成AI
- 高校の評価の3観点とchatGPTの利用方法、対応関係について知りたい。
- きっと初心者が多かったので、中級以上の方はもう少しステップアップした研修が必要だったかと思います。
- 余分なことかもしれませんが、今回の研修で、初心者が戸惑ったところをお伝えしておきます。紹介いただいた動画を見てアカウント作成を実施したのですが、chatGTPのアドレスが動画と違っていたため、どのサイトから入るのが正しいのか分かりませんでした。→(中村回答)ご指摘ありがとうございます!助かります!OpenAIのサイトで変更があったようなので、修正させていただきました!
- それから、研修の資料は情報課が気を利かせてポータルサイトを作成してくれましたが、自前のパソコンではないと準備が難しいと思いました。学校あるあるですので、また学校での研修があるときは、御参考にしてくだい。→(中村回答)おっしゃる通り、自前PCで実施できれば、よりスムーズだったかもしれません。こちらも参考にさせていただきます!
- 教科別のより具体的な実践例、レベル別の講座(初心者向け、中級者向け、上級者向け)があったら嬉しいです。この講座を生徒に受けさせてもいいなと思いました。→(中村回答)先生方もお忙しいとは思いますが、お時間、予算感に合わせて(弊社に限らず)ご検討・ご相談ください。実際に弊社では、リーダー層(AIの責任者)となる方には、初級編として35時間の研修を受けていただいております。
- ①もしAIの研修をやるのであれば…すでに生成AIを使用して教育活動を行っている先生方は何人もいると思います。講師を呼んでどうこうというよりは、同僚がやっていることを共有できる研修会の方が効果があると感じます。浜工の生成AIに対してのスタンスにもよると思いますが。②教員の人間教育的な研修を希望します!
- リモート学習の運用方法について
- これから少しずつ触っていき、理解を深められたら次を考えたいと思います
- より効率の良い事務処理方法やEXCELとの連携方法など
- 続編の講座を希望いたします。
- あおいさんのようにある程度のひな形が作れる講座を希望します。
- 一部事例が紹介されていましたが、授業にどのように活用できるか、具体的な事例をたくさん知ることができるとありがたいです。また、先生側でどこまで作り込めるかも知りたいです。
- さらに深い内容を知りたいです。(動画作成、編集、その他できる事イロイロ)
- 実務に取り入れられるこのような研修を希望します。
- 教科ごとの授業活用方法を知りたいと思いました。
- 専門的なAIの作り方や動画・画像の作り方も教えていただきたいです。有料版の範囲にかかりますし、教員個々のスキルやリテラシーレベルの差もあるので難しそうですが……。
- 1日の時間割や、1年の行事予定の単位でAIが活躍できそうな場面をピックアップしてくださると、現場での導入が説得しやすくなるので、していただけると嬉しいです。
- 中村先生、ワードやエクセルを使いこなす本、「できるword」や「できるexcel」などがありましたが、それAI版の本やyoutube、「できるChatGPT」などを出してもらえますか。すでに出ているようでしたらごめんなさい。よろしくお願いします。→(中村回答)ありがとうございます!とりあえずはYouTubeで発信しておりますので、またご覧いただければ幸いです!
まとめ
貴重なお時間、多数のコメント、ありがとうございました。
大切なことは、こうしたAIの議論や発見を自分だけのものにせず、できるだけオープンな議論を始めることだと思っています。学校は閉鎖的になりがちですからね…。
私も勉強になりました。
参考までに、「教育×AI」をテーマにした動画もアップしていますので、よければご覧ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。