生成AI応用編:『カスタムAI』と『ワークフローへの組み込み』の事例を紹介します(GPTs、API、Dify、GAS)

生成AI応用編:『カスタムAI』と『ワークフローへの組み込み』の事例を紹介します(GPTs、API、Dify、GAS)

こんにちは!AIキャンプ中村です。

今回は、

「独自のカスタムAIって何?」

「AIをワークフローに組み込むって何?」

という方に向けて、カスタムAIAIのワークフローへの組み込みの事例を紹介します。

最近は、単にChatGPTやGeminiなどのAIを使うだけでなく、独自にカスタマイズしたAIや、AIをワークフローに組み込んで活用するケースが増えてきました。

今回は、4つの事例を挙げながら、この魅力を紹介します。

※なお、技術的な解説は省略しますが、ChatGPTのGPTs、ノーコードAI開発ツールDify、API、Google Apps Scriptなどのプログラムを使用しています。

前提:ChatGPTやGeminiの2つの課題と解決策

ChatGPTやGemini等のAIはとても便利ですが、課題が2つあります。

課題1:プロンプトを打つのが大変

1つ目の課題は、プロンプトを打つのが大変なことです。

生成AIの回答はプロンプトに大きく依存し、高度なタスクになればなるほど、複雑なプロンプトが要求されます。

社内でAIを活用するケースでは、「全社員がプロンプトを使いこなし、アウトプットの品質を統一する」ことは、現実的ではありません。

課題2:独自のデータを持っていない

2つ目の課題は、独自のデータを持っていないことです。

例えばChatGPTに、「社内の就業規則を教えて」と聞いても、AIは各企業の社内情報までは学習していないので、当然答えられないんですよね。

実務に使う場合、社内データが必要になるケースも多く、ChatGPTの活用が進まない1つの要因になっています。

解決策:カスタム設定とRAG

でも大丈夫!

これら2つの課題は、次の方法で突破できます。

1つ目は、「プロンプトを事前に仕込む」ことで解決できます。

プロンプトを裏側に設定しておけば、ユーザーはプロンプトをほとんど打つことなく、高品質な回答を引き出すことができます。

このように、事前に仕込むプロンプトを「カスタム設定」と呼び、

プロンプトが不要な設計を、「ロープロンプト」とか「ノープロンプト」と呼びます。

2つ目は、「データを与える」ことで解決できます。

例えば、就業規則の文章をAIに事前に与えておけば、データをもとに回答してくれるようになります。

こうした生成AI×データ連携の代表的な技術は「RAG(検索拡張機能)」と呼ばれ、生成AI活用において欠かせないポイントとなっています。

カスタムAIとワークフローへの組み込みの4つの事例

それでは、4つの事例を紹介します。

事例1:ChatGPT上で動くカスタムAI

ChatGPTの有料版アカウントを使うと、ChatGPT上に独自のカスタムAIを作成することができます。

すごく簡単な事例として、「ネコ吉」というカスタムAIを作ってみました。

実際にこちらで触ることができます(https://chatgpt.com/g/g-2uPWiBNni-nekoji-sanhuruai-no-20

このネコ吉というカスタムAIには、以下のようなカスタム設定と、AIキャンプに関するPDFデータを与えています。

ですので、猫のような口調で、AIキャンプについて可愛く回答することが可能になっています。

ネコ吉のカスタム設定

・あなたの名前は「ネコ吉」です。

・与えられたデータに基づき、「AIキャンプ」について、元気よく回答してください。

・語尾は、「にゃ」「にゃあ」「にゃん」などを使用してください。ただし、自然な日本語になるように注意してください。

ネコ吉に与えたPDFデータの中身

AI キャンプについて
・AI キャンプは、生成AI やChatGPT に関する研修や導入支援を行っています。
・運営は株式会社ラーニングライトです。
・代表は中村俊也(なかむらとしや)です。
・中村俊也はきゅうりがきらいです。
・YouTube「AI キャンプ」もやってるよ。

例えば、「代表者の嫌いな食べ物は?」と聞くと、

「AIキャンプの代表である中村俊也さんは、きゅうりが嫌いだそうにゃん​!」と、データに基づき可愛く回答してくれます。

これが独自のカスタムAIです。

ちなみに私達AIキャンプでは、「AI社員あおいさん」をはじめ、独自のカスタムAIを200体以上作成しています。

メールや議事録をあっという間に作成してくれたり、YouTubeや講座のアイデアや構成を作ってくれたり、もはや欠かせない存在になっています。

事例2:カスタムAIをWEBサイトに埋めこむ

続いて、AIの機能をWEBサイトに埋め込んでみました。

事例1の「ネコ吉」と全く同じ機能を持っています。

実際に触ってみてください。

このように、WEBサイト・チャットツール・LINE・Excel・Gmail・自社のビジネスツールなど、様々なツールにAIを組み込むことが可能です。

こうしたカスタマイズができると、AI活用の幅がぐっと広がります。

事例3:より高度なカスタムAI(PDFをPodcastに変換)

AIキャンプラジオ「PDFをPodcastに変換するよ!」

中級者以上になると、より高度なカスタムAIを構築することも可能です。

こちらのツールは、「PDFをアップするだけで、あっという間にオリジナルPodcastを作成することができる!

という、かなり高度なAIツールになっています。

実際にこちらのページで体験できます。

YouTubeでも紹介しています:動画「【開発報告】PDFをアップするだけでオリジナルPodcastを作成できるAIツールを作ってみました!(ChatGPT、Dify)

AIの機能を応用することで、こうした自社専用の独自AIツールの開発・実装も可能ということは、覚えておきましょう。

可能性は無限大です。

事例4:AIを日常のツールに組み込む(問合せの返信文をGmailに自動作成)

最後の事例は、普段使用しているツールにAIを組み込むパターンです。

以下は、「Googleフォームに入ったお問合せの返信文をAIが自動作成して、下書きをGmailに保存する」という事例です。

ユーザーは何もしなくても、AIが自動的に問合せ内容を確認し、その返信文を作成してくれます。

このツールを搭載すると、「①Googleフォームを開く、②問い合わせ内容を確認する、③返信案を作成する」という3工程を、全て自動化できます。

人間は、「④返信文を修正して完成させる、⑤送信する」の2工程だけやればOKです。

体感としては、業務負担を70%削減できるため、ビジネス上のインパクトもかなり大きいと言えます。

このように、ツール内にAIを組み込むことで、ユーザーはChatGPTの画面を開くことも、プロンプトを打つ必要もありません。

AIは裏側で動いているので、ユーザーはAIの存在をほとんど感じることなく、その恩恵を受けることができるのです。

まとめ

今回は、「カスタムAI」と「AIをワークフローへ組み込む」というテーマで、4つの事例を紹介しました。

事例1:ChatGPT上で動くカスタムAI
事例2:カスタムAIをWEBサイトに埋めこむ
事例3:より高度なカスタムAI(PDFをPodcastに変換)
事例4:AIをツールに組み込む(問合せの返信文をGmailに自動作成)

以上4つを紹介しました。

ChatGPTやGeminiなどの基本ツールを使うだけでなく、独自のカスタムAIやワークフローへ組み込むことで、AI活用の幅がかなり広がったことを感じていただけたと思います。

ぜひ今回の話を参考にして、皆様もいろいろ試してみてください。

また、こうしたツールを実際に作ってみたいという方は、私達AIキャンプの集中講座などにご参加いただけると幸いです。

それでは今回は以上です。ありがとうございました。

この記事を書いている人

AIキャンプ®代表

株式会社ラーニングライト代表取締役

中村俊也(なかむらとしや)

中村俊也プロフィール_生成AI_ChatGPT_静岡_株式会社ラーニングライト

AIのコンサルタントとして活動し、生成AI・ChatGPTに関する講演・研修・導入支援などを手掛ける。2023年から、ご依頼230団体受講者30,000名様を突破し、静岡県No.1の開催実績を達成。公的機関、金融機関、教育機関、大企業から個人に至るまで、AIの活用を幅広くサポート。元教師で分かりやすく、力になる講座設計が強みで、4年で講演回数は475本を突破。静岡県優秀技能者。登録者7,000名を超えるYouTube「AIキャンプ」も運営中。現在は全国から依頼が殺到し、AIのリテラシー向上に努めている。