生成AI×学校教育で使える超実践活用術!(AIティーチングアシスタント・個別最適化学習・AI共創学習)【講演アーカイブ】

生成AI最前線&教育現場での活用法@静岡県東部公立高等学校等副校長・教頭会研究協議会

今回は、2025年6月に開催された生成AI×教育をテーマとした講演のアーカイブ動画(ダイジェスト版)になります。学校の先生向けに、今すぐ使える活用例や、AI時代の教育のデザインなどを紹介させていただきました。

・文化祭の展示アイデア出し
・授業案の相談
・業界研究・就活相談の相談
・高度検索で文化祭の来場者アップ戦略を練る
・授業まとめを図解やLINEスタンプに変換
・画像認識でテストの採点
・理科の実験をAIと会話しながら考察
・AIプログラミングで個別最適化された英単語アプリの開発
・AIと一緒にディスカッションする「AI共創学習」
・個別最適化学習
・議事録AIエージェントで授業データを蓄積する
・授業データから次の授業案を作成する
などなど、様々な事例を紹介していますので、ぜひご覧ください。

▼文字起こし

本日はAI最前線・教育での活用法というテーマでお話しします。先生方、学校向けとして、こんな課題を二つ用意しました。「指数関数を学ぶ理由を高校生でも分かるように、楽しく300〜500文字で説明してください」。これをAIにやらせてみましょう。ChatGPTに入力すると、すばやく返ってきます。例えば、「ウイルスが一気に広がるスピード、SNSでバズる投稿の広がり方、お金がどんどん増える利子、これらはすべて指数関数が関係しています。最初は少しずつしか増えないのに、ある瞬間から急に大きくなる」という具合です。指数関数は“ビューッと増える関数”くらいなら私も説明できますが、ウイルスやSNSなど生徒に刺さる事例を交えて語るのは難しい。文章作成にもAIは使えます。私は、人間が教える時代からAIが教える時代に変わると確信しています。先生方も真似してみると面白いでしょう。続いてアイデア出しをしましょう。「工業高校情報技術科3年生が半年後の文化祭展示を考えている。保護者や中学生が楽しめる企画アイデアを五つ挙げて」と頼むと、体験型プログラミングワークショップ、AIによる画像認識デモ、レトロアーケード体験、IoT展示としてスマートホーム模型のデモ、謎解き脱出ゲームなどを提案してくれました。私は工業高校情報技術科の担任をしていたので、まさにこういう案が欲しかったのです。ChatGPTの代表的な使い方は文章作成とアイデア出しです。ここで重要な心構えをお伝えします。AIを検索のように調べ物だけに使うのではなく、相談相手にしてください。たとえば五つのアイデアのうち五番が面白いと思ったら、「五番が良いがもっと具体的なイメージが湧かない。具体的に説明して」と友達に話しかけるように追加で頼むのです。AIは「それだと中学生はすぐ飽きるから、もっと簡単でワクワクするものにして」といった突っ込みにもどんどん応えてくれます。人間ならイラッとされる注文でもAIは平気です。教育界で期待されるAI活用例を紹介します。第一はAIティーチングアシスタントです。大学の上級生や大学院生が行うTAの役割をAIが担います。生徒にとっては個別の家庭教師、先生にとっては授業設計や教育活動全般のサポートになります。ビジネス的にも効果が高いのは個別最適化学習です。一斉授業から動画学習、そしてAIの登場により、個別最適化が現実的になりました。私はイベントで静岡県の先生方ともディスカッションしました。ChatGPTが登場してから使い続ける中で、学びの個別最適化こそAIに期待できると感じています。生徒が自分の好きなことを好きなタイミングで好きな方法で学ぶ――子どもが自ら学びをデザインできる状態を学校の中で実現したい。まとめると、AIティーチングアシスタントと学びの個別最適化から始めると良いでしょう。ではChatGPTで具体的に何ができるか。先生がすぐ使いやすいのは授業案の相談です。特別なプロンプトテクニックはいりません。私は音声入力で「心理学の専門家で教育者として大学一年生向けの心理学の授業案を手伝って」と頼みました。心理学を初めて学ぶ学生に「認知バイアスと錯覚の世界」「あなたはどんな人?簡易パーソナリティ診断」など私では思いつかないアイデアが出てきます。同僚の先生に相談するよりAIの方が豊富です。さらに「一番のアイデアを15分で体験できるように」と無茶ぶりすると、導入2分、体験5分、ネタバラシ3分、解説3分、まとめ2分の詳細なプランを示してくれました。「学生の意欲を高める声かけの例も作って」と頼めば、「今から世界中の大学で導入に使われる映像を見てもらいます。あなたの心の癖が見えてきます」という掴みまで生成してくれます。AIはすごいと思いますが、主役はあくまで人間です。AIの回答に驚くだけでなく、先生がそれをどう授業にデザインするかにエネルギーを使ってください。私が最も勧めるのは授業案をAIに相談する方法です。さらにAIを生徒専用の先生として使い、分からないことを教えてもらうのも有効です。Excel関数の作り方、就職活動での職種説明など、先生や私が説明できなくてもAIならできます。AIと生徒と先生の三角形で一緒に考える使い方も良いでしょう。ChatGPTには約27種類の応用機能があります。画像生成、プログラム実行、データ連携などです。AI検索も強化され、思考しながら検索してくれます。たとえば「普通科高校の生徒会長で文化祭の来場者を増やしたい」と相談すると、AIはSNS活用、地域連携、特色イベント、特別ゲスト招待、プレゼント企画などを提案し、それに関連する検索を同時に行い、多角的に情報を集めます。ポスターのデザインのコツまで自動で調べるので、Google検索では到底できなかった支援が可能です。画像生成も教育に活用できます。授業を録音し文字起こししたテキストをもとに「かわいい魚のキャラクターが挨拶するLINEスタンプ風の画像を描いて」と指示すれば、授業内容をまとめたイラストが生成され、生徒受け抜群です。ChatGPTは画像も認識できます。化学の問題写真を貼り、「この三つの化学式の正誤を判定して」と頼むと、正確に答えます。さらにその画像を題材に小論文の問題を作成させたり、街の写真を基に就活アドバイスやスポーツのフォーム分析をさせたりできます。アイデア次第で無限に広がります。私は教員時代に炎色反応の実験をAIと組み合わせて行いました。AIが映像を認識し会話しながら解説してくれるので、まるで第二の先生です。プログラミング教育にもAIは強力です。私はエンジニアではありませんが、AIに「英単語クイズアプリを作って」と頼むと、間違えた単語を登録してくれるオリジナルアプリを即座に生成してくれます。コードはAIが書くので私たちは指示するだけで済みます。発展系としてAI競争学習があります。これはテクノロジー・ベースド・ラーニングとも呼ばれ、人・AI・先生の三者で学ぶモデルです。知識不足で議論が深まらないとき、AIが補完し、議論の質を一気に高めます。例えば「竹取物語を現代風に考察する」「静岡県東部の人口減少対策を考える」といった難題でも、生徒二人とAIでディスカッションすると想像以上のアイデアが生まれます。最先端ではAIをワークフローに組み込み、複数のAIエージェントが連携して自動化を実現しています。音声ファイルをアップロードすると、パスワード認証、文字起こし、議事録作成、関係者への共有、データベース登録までを自動で行うシステムも作れます。手作業だと合計120分かかる作業がAI連携で30分に短縮できます。先端企業はこのレベルで業務を再構築しており、学校教育でも授業録画を要約し、生徒ごとに弱点を抽出してフィードバックする仕組みを作ることが可能です。社会はChatGPTを使って一つのタスクを便利にする段階を超え、働き方そのものを変えようとしています。教育現場でもAIが当たり前の世界に向け、先生自身が詳しくなることが第一歩です。個人プレーでは限界があるので、大きなチームで実証実験として進めるのが良いでしょう。禁忌視せず、子どもと一緒に考える姿勢も大切です。今日紹介した授業相談などから少しずつ試し、学校内でシェアしていただければうれしいです。ご清聴ありがとうございました。