変わる高校普通科の再編情報まとめ!学際融合・地域探求って何?
高校普通科が新しくなるって本当?新しくできる「学際融合」と「地域探求」って何?詳しく知りたい!これから中学生は、どうやって高校を選べばいいの?
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- 高校普通科の再編について、詳しい情報をまとめました
- 新しくできる「学際融合学科」「地域探求学科」について説明します
- 中学生や保護者向けに、これからの高校の選び方をアドバイスします
この記事を書いている人は、若者の進路支援のプロです。詳細はこちら
- 元高校教師
- 大学キャリアセンター職員
- 進路アドバイザー
- 国家資格キャリアコンサルタント
これらの経歴を持ち、800人以上の若者の進路支援をしてきました。
こんな私が、解説していきます。
高校普通科の再編とは?
現在の高校は、「①普通高校」、工業・農業などの「②専門高校」、「③総合高校」の3つ
このうち、7割の生徒が通う「①普通高校」が、早ければ2020年の春から変わることが検討されています。
この案が予定通り進めば、現在の普通科は、「普通科」「学際融合学科」「地域探求学科」の3つに分かれます。
なんで普通科を変えるの?
実は、「普通科を変えよう!」という議論は、昔から何度も行われてきました。
理由は、
- 普通高校の勉強が、「大学に合格するための勉強」に偏っている
- 高校に入ると、勉強についていけなくなる生徒がたくさんいる
- 高校ごとの特徴がない
- 学校の勉強が、社会の課題に対応できていない
- 学校の勉強が、地域の課題に対応できていない
簡単に言えば、高校の普通科の勉強って時代に合ってないよね!
ということです。
世間の声
このニュースに対して、世間からはたくさんの不安の声があがっています。
- なんでコロナの今やるの?ふざけるな!
- 普通高校を変える意味が分からない
- 「地域探求」はまだ分かるけど、「学際融合」って何?
- これから高校を受験する中学3年生は大変だ!
- 国が信用できない
ネット上では、「コロナで大変なのになんで今!?」とか、「9月入学も、大学入試改革も、国がやってることはめちゃくちゃ!いい加減にして!」という不満の声が圧倒的に大きいようです。
私も高校・大学で働く中で、入試改革などに日々振り回されています。
現場からすると、「国が信用できない」、「いい加減にして欲しい」と思ってしまいますね・・・
ただし、国が決めることに私たちが反発しても仕方ありません。
国がどういう決断をしても大丈夫なように、しっかりと対応しておいた方が良いでしょう。
国の言いたいことを代弁します
ここで少しだけ、国の言いたいことを補足しておきます。
1つ目は「普通科の改革は絶対に必要なこと」です。
先ほど解説したように、普通科の教育はめちゃくちゃ時代遅れです。年十年も昔から変わっていないため、1年でも早く変わるべき。
ですから、国が「普通科を変えよう」と舵を切ること自体は、国民にとっても良いことだと考えましょう。
時代の変化に応じて、私たち国民も「学びに対する考え方」を変えないといけないのです。
2つ目は「『学際』は教育界ではもう当たり前」なんです。
世間からすると、「学際(がくさい)ってなに?」という感じだと思いますが、教育に関わる者としては当たり前。
東京大学や早稲田大学を始めとして、「学際系学科」はもう当たり前に存在する分野です。
ですから、「学際ってなに?」と思った人は、自分でちゃんと勉強しないとだめですよ。
もう少し詳しく知りたいという人のために、
2020年7月17日に行われた、萩生田文部科学大臣の会見をはっておきます(お時間のある方だけどうぞ 10分~)
「学際融合学科」「地域探求学科」って何?
それでは、学際融合学科と、地域探求学科について説明していきます。
学際融合学科とは
学際融合学科とは、
- SDGs(エス・ディー・ジーズ)など、現代社会の抱える課題解決に取り組む
- 大学などの高等教育機関と連携する「高大連携」や、国際機関と連携する
「学際(がくさい)」というのは、科目を横断して学ぶことを指します。
こちらの記事を見て頂くとよく理解できます。
学際融合学科の特徴の1つ目は、「社会の課題解決を目指す」ことです。
従来の普通教育に加えて、「貧困」や「環境問題」など、社会の課題に目を向ける学習が増えることが予想されます。
これは、教科を超えた学びが増えるという意味です。
例えば、環境問題を解決するには、「社会」の知識だけでなく、「理科」の知識も必要ですよね。
今の学校教育では、社会と理科がばらばらで授業をしています。ですが、実際に環境問題を解決するには、どちらの知識も重要です。
学際的な学びでは、こうした教科や分野のカベを超えて、様々な視点から問題を考える学習をするということです。
2つ目は「連携」です。
学校教育は、国が決めた「みんな一緒」の教育で、学校ごとに特徴がありません。
ですが、「この高校はこの大学と連携して学ぼう」といった学びが可能になれば、学校ごとにもっともっと特色ある学びができるようになります。
地域探求学科とは
地域探求学科とは、
- 地域課題をテーマとした探求した学びに取り組む
- 地域自治体や企業とコンソーシアム(共同体)を構築する「産学連携」
こちらは名前の通り分かりやすいですね。
特徴の1つ目は、地域の課題に注目すること。
2つ目は、地域や企業と共同する「産学連携」をすること。
今の普通教育は、大学受験に偏った教育が中心ですから、地域に注目した課題は面白いかもしれません。
これからの高校の選び方をアドバイス【中学生や保護者向け】
さて、予定通りなら、2022年の春から普通科の再編が始まります。
※これは2020年8月現在の情報です
ですから、2022年以降に高校に入学する今の中学生や小学生は、この変化に対応しないといけません。
スクールポリシーに注目しよう【重要】
文科省は、全ての学校にスクールポリシーの決定を求める予定です。
スクールポリシーとは、学校の教育方針を示すものです。
例えば、
「〇〇高校では、地域課題を解決する人材を育てます」
「××高校では、国際的に活躍する人材を育てます」
みたいに、各校の特徴を示したものがスクールポリシーです。
これからの中学3年生は、「スクールポリシー」を見て高校受験をすることが当たり前になるかもしれません。
え?スクールポリシー??なんか難しそうで大変だ!
と思うかもしれませんが、安心してください。
中学生からすると、
これまで:高校が特徴を示してくれなかった
これから:高校が特徴を示してくれるようになる(^^)
ということなので、高校選びがやりやくなりますよね?
もちろん今まで通り、「偏差値の高い高校に行く」「家から近い高校に行く」という選択基準は残りますが、
「学校の特徴で決める」という新しい選択肢ができることになります。
スクールポリシーのすすめ
2022年に始まるということは、2021年中には高校はスクールポリシーを定めて、中学生へ説明しないといけません。
ちょっと急すぎますね・・・
今の日本のことですから、国や高校の対応が追い付かず、スクールポリシーが決まらない可能性はあります。
しかし、スクールポリシーが決まっても決まらなくても、
中学生の皆さんは、「自分の学びたいことや学校の特色に注目する」という姿勢は持っておきましょう。
これ、超大事です!
なぜなら、この考え方が「大学受験」や「就職試験」、「転職」の考え方と全く同じだからです。
大学なら「アドミッション・ポリシー(学びの特徴)」
就職なら「経営方針や社風(会社の特徴)」です。
ですから、自分の進む進路先にどんな特徴があるかを考えることは、その後の人生でも、進路選びの基本になります。
中学生からこういう考え方ができるようになると、あとでとても役に立つでしょう。
高校選びを大切に
今の大学受験は、「偏差値」だけでなく、「学びの特徴」で選ぶ時代に少しずつ変わってきています。
これからの高校受験も、「偏差値」以外の基準で選ぶことがもっと増えるかもしれません。
今の時代は、「よい大学、よい会社に入ることが正解」の時代ではありません。
自分がどういう基準で進路を選ぶかを、自分考える時代が来ています。
「高校選び」という人生の分岐点で、どんな道に進みたいかを、一度考えてみると良いでしょう。
まとめ
本記事では、普通科の改革について解説しました。
結論
- 高校普通科が、「普通科」「学際融合学科」「地域探求学科」の3つに分かれる
- 早ければ2022年からスタート
- 今の高校普通科は時代遅れ!
- 世間の不安の声が大きい
- 国がどんな決断をしても、困らないようにするべき!
- 「学際融合」では、現代課題解決や高大連携に力を入れる
- 「地域探求」では、地域課題解決や産学連携に力を入れる
- 各高校ごとに、スクールポリシーが定められるかも
- 自分の学びたいことや、高校の特徴に注目しよう!