変わる高校普通科の再編情報まとめ!学際融合・地域探求って何?

西暦 2019年から2024年

高校普通科が新しくなるって本当?新しくできる「学際融合」と「地域探求」って何?詳しく知りたい!これから中学生は、どうやって高校を選べばいいの?

こんな疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 高校普通科の再編について、詳しい情報をまとめました
  2. 新しくできる「学際融合学科」「地域探求学科」について説明します
  3. 中学生や保護者向けに、これからの高校の選び方をアドバイスします

この記事を書いている人は、若者の進路支援のプロです。詳細はこちら

  • 元高校教師
  • 大学キャリアセンター職員
  • 進路アドバイザー
  • 国家資格キャリアコンサルタント

これらの経歴を持ち、800人以上の若者の進路支援をしてきました。

こんな私が、解説していきます。

高校普通科の再編とは?

現在の高校は、「①普通高校」、工業・農業などの「②専門高校」、「③総合高校」の3つ

このうち、7割の生徒が通う「①普通高校」が、早ければ2020年の春から変わることが検討されています。

この案が予定通り進めば、現在の普通科は、「普通科」「学際融合学科」「地域探求学科」の3つに分かれます。

なんで普通科を変えるの?

実は、「普通科を変えよう!」という議論は、昔から何度も行われてきました。

理由は、

  • 普通高校の勉強が、「大学に合格するための勉強」に偏っている
  • 高校に入ると、勉強についていけなくなる生徒がたくさんいる
  • 高校ごとの特徴がない
  • 学校の勉強が、社会の課題に対応できていない
  • 学校の勉強が、地域の課題に対応できていない

簡単に言えば、高校の普通科の勉強って時代に合ってないよね!

ということです。

世間の声

このニュースに対して、世間からはたくさんの不安の声があがっています。

  • なんでコロナの今やるの?ふざけるな!
  • 普通高校を変える意味が分からない
  • 「地域探求」はまだ分かるけど、「学際融合」って何?
  • これから高校を受験する中学3年生は大変だ!
  • 国が信用できない

ネット上では、「コロナで大変なのになんで今!?」とか、「9月入学も、大学入試改革も、国がやってることはめちゃくちゃ!いい加減にして!」という不満の声が圧倒的に大きいようです。

私も高校・大学で働く中で、入試改革などに日々振り回されています。

現場からすると、「国が信用できない」、「いい加減にして欲しい」と思ってしまいますね・・・

ただし、国が決めることに私たちが反発しても仕方ありません。

国がどういう決断をしても大丈夫なように、しっかりと対応しておいた方が良いでしょう。

国の言いたいことを代弁します

ここで少しだけ、国の言いたいことを補足しておきます。

1つ目は「普通科の改革は絶対に必要なこと」です。

先ほど解説したように、普通科の教育はめちゃくちゃ時代遅れです。年十年も昔から変わっていないため、1年でも早く変わるべき。

ですから、国が「普通科を変えよう」と舵を切ること自体は、国民にとっても良いことだと考えましょう。

時代の変化に応じて、私たち国民も「学びに対する考え方」を変えないといけないのです。

2つ目は「『学際』は教育界ではもう当たり前」なんです。

世間からすると、「学際(がくさい)ってなに?」という感じだと思いますが、教育に関わる者としては当たり前。

東京大学や早稲田大学を始めとして、「学際系学科」はもう当たり前に存在する分野です。

ですから、「学際ってなに?」と思った人は、自分でちゃんと勉強しないとだめですよ。

もう少し詳しく知りたいという人のために、

2020年7月17日に行われた、萩生田文部科学大臣の会見をはっておきます(お時間のある方だけどうぞ 10分~)

萩生田文部科学大臣会見(令和2年7月17日):文部科学省

「学際融合学科」「地域探求学科」って何?

それでは、学際融合学科と、地域探求学科について説明していきます。

学際融合学科とは

学際融合学科とは、

  • SDGs(エス・ディー・ジーズ)など、現代社会の抱える課題解決に取り組む
  • 大学などの高等教育機関と連携する「高大連携」や、国際機関と連携する

学際(がくさい)」というのは、科目を横断して学ぶことを指します。

こちらの記事を見て頂くとよく理解できます。

学際融合学科の特徴の1つ目は、「社会の課題解決を目指す」ことです。

従来の普通教育に加えて、「貧困」や「環境問題」など、社会の課題に目を向ける学習が増えることが予想されます。

これは、教科を超えた学びが増えるという意味です。

例えば、環境問題を解決するには、「社会」の知識だけでなく、「理科」の知識も必要ですよね。

今の学校教育では、社会と理科がばらばらで授業をしています。ですが、実際に環境問題を解決するには、どちらの知識も重要です。

学際的な学びでは、こうした教科や分野のカベを超えて、様々な視点から問題を考える学習をするということです。

2つ目は「連携」です。

学校教育は、国が決めた「みんな一緒」の教育で、学校ごとに特徴がありません。

ですが、「この高校はこの大学と連携して学ぼう」といった学びが可能になれば、学校ごとにもっともっと特色ある学びができるようになります。

地域探求学科とは

地域探求学科とは、

  • 地域課題をテーマとした探求した学びに取り組む
  • 地域自治体や企業とコンソーシアム(共同体)を構築する「産学連携

こちらは名前の通り分かりやすいですね。

特徴の1つ目は、地域の課題に注目すること。

2つ目は、地域や企業と共同する「産学連携」をすること。

今の普通教育は、大学受験に偏った教育が中心ですから、地域に注目した課題は面白いかもしれません。

これからの高校の選び方をアドバイス【中学生や保護者向け】

さて、予定通りなら、2022年の春から普通科の再編が始まります。

※これは2020年8月現在の情報です

ですから、2022年以降に高校に入学する今の中学生や小学生は、この変化に対応しないといけません。

スクールポリシーに注目しよう【重要】

文科省は、全ての学校にスクールポリシーの決定を求める予定です。

スクールポリシーとは、学校の教育方針を示すものです。

例えば、

「〇〇高校では、地域課題を解決する人材を育てます」

「××高校では、国際的に活躍する人材を育てます」

みたいに、各校の特徴を示したものがスクールポリシーです。

これからの中学3年生は、「スクールポリシー」を見て高校受験をすることが当たり前になるかもしれません

中学生

え?スクールポリシー??なんか難しそうで大変だ!

と思うかもしれませんが、安心してください。

中学生からすると、

 これまで:高校が特徴を示してくれなかった

 これから:高校が特徴を示してくれるようになる(^^)

ということなので、高校選びがやりやくなりますよね?

もちろん今まで通り、「偏差値の高い高校に行く」「家から近い高校に行く」という選択基準は残りますが、

「学校の特徴で決める」という新しい選択肢ができることになります。

スクールポリシーのすすめ

2022年に始まるということは、2021年中には高校はスクールポリシーを定めて、中学生へ説明しないといけません。

ちょっと急すぎますね・・・

今の日本のことですから、国や高校の対応が追い付かず、スクールポリシーが決まらない可能性はあります。

しかし、スクールポリシーが決まっても決まらなくても、

中学生の皆さんは、「自分の学びたいことや学校の特色に注目する」という姿勢は持っておきましょう

これ、超大事です!

なぜなら、この考え方が「大学受験」や「就職試験」、「転職」の考え方と全く同じだからです。

大学なら「アドミッション・ポリシー(学びの特徴)」

就職なら「経営方針や社風(会社の特徴)」です。

ですから、自分の進む進路先にどんな特徴があるかを考えることは、その後の人生でも、進路選びの基本になります。

中学生からこういう考え方ができるようになると、あとでとても役に立つでしょう。

高校選びを大切に

今の大学受験は、「偏差値」だけでなく、「学びの特徴」で選ぶ時代に少しずつ変わってきています。

これからの高校受験も、「偏差値」以外の基準で選ぶことがもっと増えるかもしれません。

今の時代は、「よい大学、よい会社に入ることが正解」の時代ではありません。

自分がどういう基準で進路を選ぶかを、自分考える時代が来ています。

「高校選び」という人生の分岐点で、どんな道に進みたいかを、一度考えてみると良いでしょう。

まとめ

本記事では、普通科の改革について解説しました。

結論

  • 高校普通科が、「普通科」「学際融合学科」「地域探求学科」の3つに分かれる
  • 早ければ2022年からスタート
  • 今の高校普通科は時代遅れ!
  • 世間の不安の声が大きい
  • 国がどんな決断をしても、困らないようにするべき!
  • 「学際融合」では、現代課題解決や高大連携に力を入れる
  • 「地域探求」では、地域課題解決や産学連携に力を入れる
  • 各高校ごとに、スクールポリシーが定められるかも
  • 自分の学びたいことや、高校の特徴に注目しよう!