「生き方」改革!?新時代のライフ・キャリア理論とは

変化の激しい現代で求められているのは、「働き方改革」だけではありません。

「生き方(=ライフキャリア)」にも改革が求められています。

ライフ・キャリア理論は、この激動の現代における生き方戦略を述べた理論です。

こんな人にオススメです。

  • 「働くことが美徳」と考えている人
  • 仕事を優先し、「家庭・人間関係」「学び」「余暇」を軽視してきた人
  • 「ワークライフバランス」の本質的な意味を深掘り・言語化したい人

本記事では、「ライフ・キャリア・レインボー」と「統合的ライフプランニング」の2つの専門的なキャリア理論を紹介し、これからの生き方を解説します。

ライフ・キャリア理論とは?

ライフ・キャリアとはその名の通り、Life(=人生)とCareer(=生き方・働き方)を合わせた言葉です。

つまり、会社で働くという狭いキャリアだけではなく、日常生活を含めた人生全体における生き方・働き方を考えます。

昭和の日本では「働くことが美徳」「男は仕事をしてなんぼ」などの価値観が強かったですよね。国際的に見ても「日本人は働きすぎ」ですよね。

しかし、2020年の現在ではこういった考えも徐々に薄れてきました。実際に、ワーク・ライフ・バランスという言葉もかなり浸透していますよね。

働き方や生き方の考えが変わる現代では、「仕事と生活のバランスが大事!」という考えは、今後さらに大きくなるでしょう。

ライフ・キャリア理論は、まさにこのワークライフバランスの重要性を説明する理論なのです。

それでは、代表的な2つの理論を学んでいきましょう。

スーパーのライフ・キャリア・レインボー

ライフキャリア理論で最も有名な人物がドナルド・E・スーパー(1910~1994)です。教員採用試験にも登場しますね!

スーパーの理論の中でも、とても分かりやすいのがライフ・キャリア・レインボー(ライフキャリアのです。

ライフ・キャリア・レインボーの図

この図は「人は人生のそれぞれのステージで様々な役割を担う」ことを示しています。

簡単なので高校生のキャリア教育にもオススメです。

出展:Super D. E. “A life-span, life-space approach to career development” (1980)

例えば、高校生の場合は「子」「学生」などの役割を持ち、大人になると「職業人(労働者)」「家庭人」などの役割を持つ、という感じです。

私がこの図を通して伝えたいことの1つ目は、「人生は仕事だけじゃない!」ってことです。

「家庭」だって大事です。「遊び」だって大事です。

仕事は大切だけど、それで家庭や自分の幸せを犠牲にする生き方はどうなのでしょうか?

スーパーは「人生には様々な役割があるんだ」ってことを伝えてくれているんですね。

では、この図をちょっと深掘りしてみましょう。「個の人は48歳の時にどんな選択をしたのでしょう?またそれはなぜでしょうか?」

この時期は一時的に「労働者」から「学生」になっていますね。これは、この人が集中的に「学び直し」を選択した期間です。

何らかの理由で、新たな知識やスキル(または資格)の獲得が必要だったと考えられます。

このように、ライフキャリアレインボーの図から、様々なポイントを考えることができます。

ライフ・キャリア・レインボーを現代版にアレンジ

ライフ・キャリア・レインボーには欠点があります。

ずばり古い!!だって1950年代の理論ですからね・・・。

ではさきほどの虹の図を見てください。「この図を現代版に修正するとしたら、皆さんならどうしますか?」

以下のような意見が上がると良いですね。

おじさん

寿命がもっと長くなるのでは?今の高校生なら100歳超えかな!

女子高生

じゃあ働く期間も長くなるよね。もしかしたら80歳超えても働くかも。

男子高生

転職も当たり前になるから、知識やスキルが必要だよね。そうか、学び直しがさらに重要になるってことか!

おばさん

80歳まで働くのって辛そう・・・。ちょっと息抜きしたっていいわよね?

おじさん

思い返せば家庭を犠牲にして、友人とも疎遠になっちゃったなぁ。人間関係だってもっと大事にすべきだよね。

いかがでしょうか?

まとめると、ライフ・キャリア・レインボー理論を21世紀版にするには、以下の5つの修正が必要ということです。

  1. 寿命をもっと長くする
  2. 働く期間をもっと長くする
  3. 学習のウエイトを多くする
  4. 余暇のウエイトを多くする
  5. 人間関係(家庭・市民など)のウエイトを多くする

そして、この5つの観点を取り入れ21世紀版に進化させた理論があります!それが次の理論!

21世紀版:ハンセンの統合的ライフ・プランニング

スーパーの理論を発展させたのが米国のL・サニー・ハンセンです。

ハンセンが1997年に提唱した統合的ライフ・プランニング(ILP)は、まさに21世紀版のライフキャリア理論と言えるでしょう。

スーパーの理論はざっくり言うとこんな感じです。

「人生には仕事以外にも様々な役割があるんだよ~」

そしてこれを進化させたハンセンの理論はこうです。

労働・学習・余暇・人間関係の4つを自由に組み合わせたワーク・ライフ・バランスが超重要だ!」

いかがでしょう?しっくりきますか?

図にするとこんなイメージです。

ライフキャリア理論の変化(筆者作)

これとよく似た話が、世界的ベストセラー「LIFE SHIFT」でも述べられていますので、興味ある人はぜひ読んでみてください。

まとめ

本記事では、ライフ・キャリア理論として以下の2つを紹介しました。

1、スーパーの「ライフ・キャリア・レインボー

2、ハンセンの「統合的ライフ・プランニング

結論は以下の通りです。

ライフキャリア理論 結論

これからは、労働・学習・余暇・人間関係の4つを自由に組み合わせたワーク・ライフ・バランスが超重要!

生き方改革の根本理論です。ぜひ押さえておきましょう。