好きなことを仕事にするのはダメ!【キャリア教育2020】

本記事では、「好きなことを仕事にする」ことが個人のキャリアにとって本当に正しいかどうかを客観的に調査しました

こちらの記事の続きです。

最初に結論です。

結論

  1. 好きを基準に職業選択をするのは間違い
  2. 好きを基準に進学先を選ぶ(学ぶ)のは正しい

・・・え、どういうこと?(笑)って思った人、ぜひ最後までご覧ください。

好きを仕事にするという罠

Aさん

好きなことを仕事にしよう

このキャリアアドバイス、夢があってとても魅力的に感じます。

人は人生の多くの時間を労働に費やしているのですから、好きなことを仕事にして働きたいというのは理にかなっているようにも感じます。

一方で、こんなアドバイスも多いのではないでしょうか?

Bさん

仕事は好きかどうかで選ぶものじゃない

仕事は好きを基準に決めるものではなく、もっと他の要素(給料・安定性・福利厚生・人間関係・貢献度・自由な裁量権など)も考えるべきという主張ですね。

この主張、どちらが正しいのでしょうか?

実はこれ、Bさんの主張が正解です。なぜでしょう?実際の研究結果を見てみましょう。

研究結果:好きを仕事にすると不幸に

実は、好きなことを仕事にすると人は相対的に不幸になるという様々な研究結果があります。

直近で有名なものが、2015年にアメリカで行われた研究と、2016年にイギリスで行われた研究の2つです。

参考文献①:Finding a Fit or Developing It: Implicit Theories About Achieving Passion for Work

参考文献②:Negotiating the Challenges of a Calling: Emotion and Enacted Sensemaking in Animal Shelter Work

こちらの文献は、2019年12月に発売された「科学的な適職」という書籍でも紹介されています。ぜひ一度読んでおきたい本ですね。

「好きを仕事にした場合、最初は幸せを感じるが、長い期間で見た場合は不幸に感じる可能性が高い。その結果、スキルが伸びず、仕事が長続きしない。」

よって、好きを基準に職業選択をするのは間違いである。

これが多くの調査結果から得られた真実です。

仕事は好きなことばかりできるわけではありません。営業の新規開拓やクレーム対応など、精神をすり減らすようなことだってたくさんあります。

好きだからこそ理想と現実のギャップが大きく、それがモチベーションの低下につながっているのかもしれません。

間違ったアドバイスが溢れる3つの理由

では、なぜ「好きを仕事にしよう」というアドバイスがここまで溢れているのでしょうか?

3つの理由を解説していきます。

好きなことをやる≠好きで仕事を選ぶ

スティーブ・ジョブズを始めとする多くの人物が「好きなことをやろう」と口を揃えています。

しかし、「好きを基準に職業選択をしよう」とは言っていません。

彼らの多くは、「とりあえずやる⇨やっているうちに好きになった」と述べており、最初から好きな仕事を選んだと語る人ってほとんどいません。

「好きなことをやる」と「好きを仕事にする」を同じ意味に捉えている人がいるかもしれませんが、深堀りすると全然意味が違うんですね。

特性因子理論(マッチング理論)という間違ったキャリア理論

ここ、学校の先生方は必見です。

特性因子理論というキャリア理論をご存知でしょうか?

「職業選択の際は、できるだけ好きで得意な仕事を選ぼう」という理論で、人と職のマッチング理論とも呼ばれます。

ホランドの職業選択理論「RIASEC」などが有名ですね。

結論から言うと、特性因子理論は職業選択においてほとんど役に立ちません。詳しくは別記事で解説しています。

恐ろしいことに、教員採用試験にも出題されますし、怪しい適職診断テストが日本中の至るところに溢れているんですよね…。

儲かる

先ほどの適職診断テストに代表されるように、「好きや得意を仕事にする」って儲かるんですよ…

「星座占い」とか「血液型別の性格診断」とか、科学的な根拠が全くないのに一定の市場規模がありますよね。あれと同じです(笑)

好きなこと=教育効果あり

職業選択の場面で好きを基準に選ぶことはNGです。しかし、教育現場において「好きかどうか」ってめっちゃ大事ですよね。

教育用語で「動機付け」と言いますが、やはり自分が好きな(興味・関心が高い)ものほど学ぶ意欲(モチベーション)は高くなります

好きなもの ⇨ モチベーション大 ⇨ 教育効果大 ⇨ 成長

つまり、教育的には「好きなことに注目する」のは理にかなっています。

職業選択に直面していない小学生や中学生に「成長を求める」という観点であれば、好きなことに注目するというのは決して間違った指導ではないでしょう。

同じように、進学を目指す高校生の場合も、好きを基準に進学先を選ぶ(学ぶ)のは正しい考え方でしょう。

ただし、高校生や大学生・社会人がいつまでも「自分の好きなことってなんだろう?」なんて考えて職業選択するのはやっぱりNGです。

ここはしっかりと使い分け、指導していきたいですね。

まとめ

最後に再び結論です。大切なのはしっかりと自分の頭で考えることだと思います。

結論

1、好きを基準に職業選択をするのは間違い

2、好きを基準に進学先を選ぶ(学ぶ)のは正しい