新型コロナウイルスで高校生ピンチ?就職氷河期か?【2020年11月】

※2020年11月8日に更新した情報です。
新型コロナウイルスによって、高校生の就職にどんな影響が起きるでしょうか?
本記事では、「求人倍率」や「業種別」に起きている現状を解説します。
記事の最後では、高校生が今やるべきアクションプランを提案しますので、ぜひ見てくださいね。
コロナウイルスによる経済への影響は?
コロナウイルスによる経済へ打撃は一体どのくらいなのでしょうか?
もちろん現時点での未来予測は難しいのですが、非常に厳しいことは間違いありません。
今のニュースはこんな感じです。
現時点での経済ニュース
※6月24日、国際通貨基金(IMF)が「1930年代の世界恐慌以降で最悪の経済危機」と発表
※7月31日、アメリカの4~6月のGDPの下げ幅が「1947年以来最悪のレベルになった」と発表
ここで、日本を襲った3つの経済危機を振り返ってみましょう。
- 世界恐慌 1929年~
- バブル崩壊 1980年代後半~
- リーマンショック 2008年~
経済への打撃度は、「世界恐慌 > バブル崩壊 > リーマンショック」です。
記憶に新しいリーマンショックは、経済の復帰が早く、そこまで大きなダメージはありませんでした。
バブル崩壊はリーマンショック以上の経済危機でした。ただしバブル崩壊は日本経済だけの出来事だったので、世界的にはそれほど大きな問題にはなりませんでした。
世界恐慌はケタ違いで、アメリカの失業率は25%、株価が5年間で89%も下落、社会混乱によって第二次世界大戦が起きるという、とんでもない状況でした。
今回のコロナウイルスは「世界的に影響を与えていること」「長期的な影響があること」から、「バブル崩壊レベル」はすでに超えていると考えられています。
現状は「世界恐慌レベル」ではないものの、今後コロナウイルスが長引けば、世界恐慌に匹敵するレベルになる可能性があります。
まとめるとこうなります。
コロナの経済打撃 現時点
世界恐慌レベル < コロナショック < バブル崩壊レベル
就職氷河期が来る?
経済は、雇用や就職に大きな影響を与えます。
結論から言えば、現在の大学生や高校生は就職活動に大きな影響を受ける可能性が高いでしょう。もしかしたら、就職氷河期が再び来るかもしれません。
以下のグラフは、求人倍率の推移です。
※7月31日に厚労省から速報値が発表され、2020年9月の求人倍率は1.03倍に急落しています。

グラフから明らかなように、バブル崩壊後やリーマンショック時は求人倍率が低下しています。特に、バブル崩壊後の時期は「就職氷河期」と呼ばれます。
求人がないのですから、就職や転職活動は非常に厳しいものとなりました。実際に、2003年の大卒生の就職内定率は55%と非常に低い数値です。(学校基本調査より)
近年では求人倍率が上昇しており、2019年では1.63倍でした。就活生にとっては嬉しい「売り手市場」です。
しかし、今回のコロナウイルスによって、バブル崩壊をはるかに超えるレベルの下げ幅になっています。
このまま下がり続ければ、バブル崩壊時と同じように、再び就職氷河期が来る可能性は十分に考えられます。
現在の高校生が仮に4年制大学に進学して就職したとすると、2025年卒~2027年卒として就職活動をします。
仮にバブル崩壊と同様のグラフになったとしたら、就職氷河期真っただ中です。高校生にとって、非常に厳しい現実が訪れるかもしれません。
企業規模と業種別求人倍率の真実

今は人手不足だからコロナでも大丈夫!
なんてセリフをネット上で見かけますが、人手不足と一括りにするのは間違っています。
実際には、企業の規模や業種によって求人倍率には大きな差が出るのです。データを使って見ていきましょう。
企業規模別の求人倍率

こちらのデータは、企業の大きさによる求人倍率の違いを表しています。
グラフから明らかなように、従業員1000人以上の大企業の方が圧倒的に求人倍率が低いですね。人手不足は主に中小企業に対して深刻ということです。
ちなみに、2008年のリーマンショックの後に、中小企業で求人倍率が激減しているのに対し、大企業ではほとんど変化がありません。
景気が悪くなった時、まず経営が苦しくなるのは企業体力のない中小企業です。今後のコロナでも、大企業ほど生き残る可能性が高いでしょう。
日本の雇用の7割を支えているのが中小企業ですので、多くの若者にとって厳しい環境がやってくるかもしれません。
業種別の求人倍率

こちらのデータから、業種によって求人倍率に大きな差があることが分かります。
流通業や建設業が深刻な「超人手不足」なのに対して、金融業は倍率約0.2倍を推移しています。
就職活動では、人手不足と一括りにするのではなく、業種ごとに考える方が良いでしょう。
「流通業」「建設業」などは、コロナの打撃に関係なく人手不足と考えられます。
また、業種ごとに浮き沈みがあるので、今回のコロナでも業種によってダメージや採用意欲に大きな差があるでしょう。
コロナによるダメージが大きい業種(帝国データバンク景気動向調査2020年3月などを参考に)
「旅行」「飲食店」「小売り」「宿泊」「娯楽」「交通」「広告関連」
採用意欲が高まる業種(ビズリーチ2020年4月調査より)
「IT・インターネット」「医療」「コンサル」「物流・倉庫」「建設」
今後の動向に注目です。
今できる対策
それでは、これから進学・就職を考えている若者にとって、やるべき対策をいくつか紹介します。
正しい情報をキャッチし、自分で考える
世の中には無責任で間違った情報が溢れています。正しい情報をキャッチして、自分の頭でしっかりと考えましょう。
メディアでは、話題性の高い情報が流れます。例えば「大企業が倒産した」というニュースが流れるのは、大企業が倒産しにくいからこそ話題になるのです。
こういうニュースの上辺の情報だけを見て「大企業は安心できないから中小企業志望に変更する」という学生がいます。しっかりと真実を見ておきたいですね。
SNSは、主観と偏見だらけのバイアスがかかった情報で溢れています。はっきり言って「ゴミ情報」だらけなので、意図的に「見ない」ことも大切です。
「普段から自分の頭で考える癖をつけること」「質の低い情報に触れすぎないこと」が大切です。
キャリアの勉強と就活対策をする
こんな時期だからこそ、社会の仕組みやキャリアに関する学習をしましょう。
残念ながら学校では様々な理由から、社会の仕組みや働き方を学ぶチャンスがとても少ないのです。
具体的には、「職業選択の方法」「自己分析の方法」「社会理解を深める方法」「就職活動の進め方」などの学習がオススメです。
就活がスタートする学年であれば、とにかく受験・就活対策をしっかりやりましょう。
景気が悪くても、しっかりと内定を獲得する学生はいます。
景気が良くても、内定が獲得できない学生もいます。
結局のところ、自分次第なのです。今できることをやりましょう。
付加価値をつけ、市場価値を高める
雇用の現場で優位に立つためには、自分自身に付加価値をつけ、市場価値を高めておくことが重要です。
「スキル」「知識」「経験」などがあれば、他人と差別化ができて有利になります。
「学歴」だって1つの武器です。事実、進学する大学によって就職結果は全然違いますからね。
これからは「影響力の高さ」も武器になります。YouTubeやTwitterなどで有名になれば、「インフルエンサー採用」なんて道もあるんです。
自分の市場価値を高めるという視点はぜひ持っておきましょう。
時間を無駄にせず、今すぐ行動する
一番良くないのは、今回の景気やコロナのことを誰かのせいにして、自分では何も行動しないことです。
国や社会を非難する前に、まず自分ができることを一生懸命やりましょう。こんな時期だからこそ、やる人とやらない人で大きな差がつくでしょう。
実際に、就職活動の現場では、行動量が結果に大きく影響します。
結果を出す人は、やるべきことをしっかりやっているのです。
まとめ
本記事では、新型コロナウイルスによって現在の高校生の就職にどんな影響が起きるかを考察しました。
コロナウイルスが採用に与えるダメージまとめ
- コロナウイルスによる経済への打撃は「世界恐慌レベル」と「バブル崩壊レベル」の間
- 求人倍率が急激に低下している
- このまま下がると就職氷河期が再来し、現在の大学生や高校生の就職活動は厳しくなる
- 企業規模別の求人推移より、特に中小企業の採用が減ると予想
- 「観光業」などの産業は、大きく採用が減る
- 「流通業」「建設業」などの産業は、引き続き人手不足が続く
- 「情報通信業」などは、逆に業績が好調の産業もある
また、若者向けに4つの対策を提案しました。
就職に向けてできる4つの対策
- 正しい情報をキャッチし、自分で考える
- キャリアの勉強と就活対策をする
- 付加価値をつけ、市場価値を高める
- 時間を無駄にせず、今すぐ行動する
今後の動向に注目です。