進路アドバイザー検定の受験体験記(感想)

試験勉強

本記事では「進路アドバイザー検定」の受験体験記をお伝えしてきます。

※あくまで個人的な感想です

最初に結論

  • 進路アドバイザー検定とは、受験者数が年間約400人程度の超マイナーな試験である
  • 進路に関する情報や知識を確認するための試験
  • 教育関係者ならそこまで難しくはないが、素人には難しい
  • 進路について役立つ情報が身に着く
  • 細かすぎる問題が多くてムダが多い
  • モチベーションが高くないと無理
  • 試験対策はまず過去問から
  • もっとモチベーションが高い人は、キャリアコンサルタントの方が良いかも?

進路アドバイザー検定とは?

進路アドバイザー検定とは、大学新聞社が主催している民間の検定試験です。公式HPはこちら

受験者数が年間約400人強程度の超マイナーな試験ですので、教育関係者で余裕があれば取っても良いかな~という試験です。

合格すると、こんな通知が届きますよ。

進路アドバイザー検定 合格認定証

試験の目的

HPによると以下のような目的で実施されています。

高校生をはじめとする若者の進路に関してアドバイスをする立場の人が、身につけていてほしい進路に関する情報や知識を確認するための検定です。

大学新聞社 進路アドバイザー検定とは

この記載の通り、進路に関わる高校生の先生、塾・予備校の職員・専門学校や大学の職員などが該当します。

HPの情報によると、受験者の8割以上は学校や塾などの教育関係者ですね。

ポイントは「情報や知識を確認するための検定」という点。そう、「確認」であり「習得」を目的とした検定ではありません。

ということなので、普段進路支援に関わらない素人が受ける試験というよりは、すでに進路支援に関わっている人が、さらに知識を身に着け、確認するための試験と言えますね!

試験内容

試験内容は90分のペーパーテストで、以下の6区分に分かれています。

  • A-1.学校に関する基礎知識
  • A-2.入試に関する基礎知識
  • A-3.学費に関する基礎知識
  • B-1.職業に関する基礎知識
  • B-2.就職の現状に関する基礎知識
  • C-1.進路指導・キャリア教育の基礎知識

試験の8割は公式テキストから出題される他、大学入試改革などの時事的な問題も出題されます。

「A-1.学校に関する基礎知識」では、各種教育機関の設置基準や校数や人数など、常識的な部分から細かいデータまで学習できます。

全日制の高校・専門・短大・4大だけでなく、大学院、通信課程、専門職大学や文科省管轄外の教育機関まで幅広く登場しますので、教育関係者でも知らない内容ばかりです。

「A-2.入試に関する基礎知識」では、入試に関する基本的な情報から、入試改革などの時事ネタまで出題されます。普段高校や塾で進学指導をしている先生なら、比較的スムーズに学習できるでしょう。

「A-3.学費に関する基礎知識」では、学費のほか普段の生活費、奨学金から教育ローンなどを手広く学習します。細かい数字を覚えるのに苦労します。

「B-1.職業に関する基礎知識」では、就職・産業に関する内容の他、世の中にたくさんある資格について学習します。資格について1つ1つ押さえていくので、数が多くて正直しんどい分野でした。

「B-2.就職の現状に関する基礎知識」では、若者の雇用の現状や就職の実態などを学習します。就職支援に関わっている人なら難しくはないと思います。

「C-1.進路指導・キャリア教育の基礎知識 」では、進路指導やキャリア教育の実態や課題点を学習します。進路アドバイザーを取るくらいの人ですから、キャリア教育について関心の高い人が多いと思います(多分)。ここは比較的興味深い分野でした。

そのほか、時事的な問題が出題されます。有名な「大学入試改革」「新学習指導要領」などですね。

他には、英語能力の国際評価「CEFR(セファール)」の基準や、心理系国家資格である公認心理士のスタート、保育士試験のチャンスの増加など、教育に関する時事的な話題が出題されます。

受験者数と合格率

第2回から第16回の受験者数はこんな感じ。平均すると年間420人です。

進路アドバイザー検定の受験者数 HPを元に筆者が作成

ちなみに受験者の多い英検やTOEICは200~400万人くらいの受験者数がいるので、いかにマイナーな試験かわかると思います(笑)

マイナーな試験ですので、そもそも知っている人は少ないです。就職などに役立つ検定ではないのでご注意を。

合格率は下の図。平均すると合格率は37%です。

進路アドバイザー検定の合格率 HPを元に筆者が作成

合格率4割弱なので一般的な試験と比べても難易度はそこまで高くないと思います。

しかし、受験者のほとんどが教育関係者であることを考えると、全くの素人にはハードルの高い試験と言えるでしょう。

メリットとデメリット(筆者の感想)

それでは、この試験のメリットとデメリットを紹介していきます。

あくまで筆者の感想なのでご理解ください。

メリット:進路支援に関する知識が身に付く

進路アドバイザー検定という名前だけあって、進路に関わる教育関係者としてはぜひ知っておきたい内容が結構あります。

例えばこんな問題。

  1. 高校生の4大学進学率は?
  2. 残業時間の最も長い産業は?
  3. 英語能力の国際基準って知ってる?(時事問題)

大学進学率は進路支援の上でまさに基本ともいえるデータの1つですので、常識的に知っておきたいですよね。(ちなみに答えは約55%。半分強が4大進学します)

また、進学だけでなく就職や産業についての知識も役立ちます。高校生であれば夢を語るだけでなく、現実をきちんと見せていくことも大切ですからね。(ちなみに、残業時間の最も長い産業は「運輸・郵便業」です)

英語能力の国際基準はCEFR(セファール)と呼ばれ、今後の英語教育を推進していく日本において必須と言える知識です。英語の先生でもないとなかなか知る機会がないので、こういう勉強はありがたいですね。

・・・以上のような内容は知っていて無駄にはなりませんし、高校生の進路支援において役立つ場面もたくさんあります。実際に筆者も楽しみながら学習することができました。

「進路支援についての知識を身に着けたい!」という強い意志のある人はぜひ受けてもいいでしょう。

デメリット:無駄知識が多い・細かい

筆者はこれがこの試験の最大のデメリットと思っています。

役立つような内容も出題されますが、まず数値問題が細かすぎる!!

例えば「高校生の専修学校専門課程への進学率は?(4択:22.7%・17.7%・16.2%・11.2%)」などの問題。

答えは16.2%だったみたいですが、正直17.7%と「そんなに変わらねーじゃん(笑)」と突っ込みたくなります。そしてこの手の問題がかなり出ます。

さらに!重箱の隅をつつくような「そんなの知らねーよ!」と思わず突っ込みたくなるような問題もかなり出ます。

例えば「専門学校の初年度納入金が最も低い分野の1位と2位は?」とか。

正直、「知らんわ!」と言いたくなりました。(ちなみに1位は日本語科、2位は看護科です)

繰り返しますが、こういう問題がかなり出ます!!

正直言って人によっては無駄知識と感じる場合も多いと思います・・・。

ですので、このような学習に耐えられない人は素直に受験を辞めた方が精神的に良いと思います(笑)

こんな人にオススメ

以上のことをまとめて、以下の人にオススメします。

  1. 暗記が得意な人
  2. 教育や進路に関わる人(大前提)
  3. 塾や高校の先生(オススメ)
  4. この試験に対してモチベーションが保てる人(これ大切)

まずは細かい問題が出るので、暗記力は大切です。

そして進路支援、特に高校生の進路支援に関わる人向けにオススメです。高校生に関わる学校や塾の先生なら受けても良いと思います。

一番大切なのは「4、この試験に対してモチベーションが保てる人」です。先ほどから述べているように、知名度の低い超マイナー試験ですし、正直なんじゃこりゃ!?って問題もたくさん出ます。

キャリア教育にすごく興味がある!とか、進路指導のエキスパートになりたい!などの強いモチベーションがないとぶっちゃけ厳しいです。

ちなみに、受験者の中には職場からの指示で強制的に受験している人が結構います。試験当日に少し話をしたのですが、モチベーションが超低かったです(笑)あぁなると正直言って無駄ですね。

楽しみながら勉強できる人向けと言えます。苦手な人はやめましょう(笑)

試験対策

最期に、受験を考えている人に試験対策について紹介していきます。

この手の資格試験は、王道の学習方法で行きましょう。ずばり過去問+公式テキストです。

以下のような学習の流れをオススメします。

  • 過去問4年分を解く
  • 出た部分をテキストにチェックしていき、出題傾向と頻出分野を把握する
  • 暗記部分は単語カードやノートにまとめて覚える
  • テキスト+もう一度過去問を解く

公式テキストをじっくり読むのは大変なので、過去問を解いてどんな問題が出題しているか傾向を掴み、そのあとの確認でテキストを読む方が効率的です。

問題を何度か解くうちに、出題傾向や頻出分野が分かりますからね。

ちなみに学習時間ですが、筆者は大体1ヶ月くらいの勉強で合格できました。休日に4日ほど図書館に籠り、あとは毎日30分~1時間程度の勉強をした感じです。

筆者のように普段から進路に関わっている人なら1~2ヶ月あれば十分でしょう。全く初めてと言う人はもっと時間がかかるかもしれません。

失敗談としては、最初にテキストを読もうとして心が折れ、ダラダラと時間を無駄にしたことです。気分を変えて過去問を先に解いたら、テキストのポイントを押さえることができました。

ぜひ過去問からやってみることをオススメします!頑張ってください!

キャリアコンサルタント目線での感想(余談)

最後に余談ですが、筆者は国家資格キャリアコンサルタントですので、この目線で少し感想を述べてみたいと思います。

(そもそもキャリアコンサルタントは「国家資格」であり、試験の難易度・必要な時間・必要な費用が全然違いますので、比較するのも変かもしれませんが・・・。)

進路アドバイザー検定は、進路で登場する知識を確認するための試験であり、キャリアの現場で使われるキャリアカウンセリングキャリア理論については正直ほとんど触れていません。

言い方は悪いかもしれませんが、全てネットでググれば出てくる内容です。

しかし、キャリアカウンセリングのスキルやマインドは、ググってすぐに使えるものでありません。また、キャリア理論を学ぶことは、変化の激しい現代におけるキャリア教育の在り方を考える機会になりました。

そういう意味では、進路アドバイザー検定は「知識の詰め込み」だったと感じています。

もし、時間とお金に余裕があり「本気でキャリアに関するスキル・知識を身に着けたい!」というなら、キャリアコンサルタントの資格取得を目指してもいいでしょう。

まとめ

以上、進路アドバイザー検定に関する体験談をまとめてみました。

結論

  • 進路アドバイザー検定とは、受験者数が年間約400人程度の超マイナーな試験である
  • 進路に関する情報や知識を確認するための試験
  • 教育関係者ならそこまで難しくはないが、素人には難しい
  • 進路について役立つ情報が身に着く
  • 細かすぎる問題が多くてムダが多い
  • モチベーションが高くないと無理
  • 試験対策はまず過去問から
  • もっとモチベーションが高い人は、キャリアコンサルタントの方が良いかも?

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