夢や進路に迷う若者が目標を見つける9つの方法とは【プロの意見です】

本記事では、「夢がない」「なりたい仕事が見つからない」「進路に迷っている」という若者に対して、将来の目標を決める9つの方法専門家(プロ)の視点から紹介します。

前回の記事では、「若者は夢がなくて当然だから心配しないでね」という話をしたので、合わせてご覧ください。

長文なのでお好きなところからどうぞ。

行動する【キャリア・ドリフト理論】

1つ目は行動することです。

前回の記事で、「若者は霧の中で迷子になっている状態だから、将来の夢やなりたい仕事が分からなくて当然」と解説しました。

どうしたらこの霧から抜け出せるのでしょうか?

それは、とにかく行動してみることです。

いつまでもその場に留まるより、実際に動き出した方が早く霧の中から出ることができるという考えです。

この考え方をキャリア・ドリフト理論と呼びます。

就職活動に当てはめると、「自分に向いてる仕事を立ち止まって考えるより、実際に体験した方が早い」ということです。

似たような意味のことわざに「百聞は一見に如かず」というものがあります。100回聞くより1回見た方が確かだということですね。

まずは積極的に行動してみましょう!

ポイントは「やりたいこと探し」をやり過ぎないことです!

ざっくりとした大きな目標を決めたら、あとは臨機応変に対応すれば良いのです。

ポイント

目標が分からない時は、まずは行動してみる!【キャリア・ドリフト理論】

【ポイント】「やりたいこと探し」をやり過ぎない!

チャンスを自ら作る【プランド・ハップンスタンス理論】

2つ目はチャンスを自ら作ることです。

高校生

チャンスを作るってどういうこと?

これは先ほどの「行動する」の続きの考えです。簡単に言うと、ただ行動するだけではなく、チャンスは自分から作るってことです。

これは筆者が高校教師だったころの話です。私は大学進学者に「大学のオープンキャンパスや説明会に行きなさい」と進路指導をしていました。

同じ大学を志望する2人の生徒がいて、2人は言われた通りその大学の進学説明会に行きました。

・A君は説明会を真面目に聞いて帰りました。

・B君は説明会が終わった後、その大学に在学中のOBの先輩を紹介してもらいました。その先輩から筆記試験や面接のポイントなど、説明会では聞けなかった具体的なアドバイスを貰うことができました。

さて、どちらの生徒が合格したでしょうか?

結果はB君です。A君は残念ながら落ちてしまいました。

A君もB君も、言われた通り進学説明会に行くという「行動」はできていますね。

しかし、B君のすごいところは、自らOBの先輩のところに行ってアドバイスを貰ったことです。

ただ行動するのではなく、自分からチャンスを掴みに行く姿勢が大事ということですね。

チャンスに関するキャリアを上手く説明しているのが、ジョン・D・クルンボルツという人物です。

クルンボルツ先生は1999年にプランド・ハップンスタンス(planned happenstance)、計画された偶然の理論を提唱しました。

「偶然を計画する」ってすごい考え方ですよね。私も初めてこの理論を知った時は驚きました。

このキャリア理論を簡単に説明すると、「偶然(チャンス)は何もせず待つんじゃなくて、自ら作りに行こうぜ」っていう理論です。

クルンボルツ先生は、チャンスを作るための5つのスキルを紹介しています。

  1. 【好奇心】いろんなことに興味を持とう!
  2. 【持続性】失敗しても諦めない!
  3. 【柔軟性】計画はほどほどに、臨機応変に対応する!
  4. 【楽観性】失敗してもなんとかなる!怖がらない!
  5. 【冒険心】いろんなことに挑戦してみよう!

確かに、この5つのスキルが身についていたら、チャンスをどんどん作り出せそうですね!

まとめます。

ポイント

チャンス(偶然)は自分で作りに行く!⇨プランド・ハップンスタンス理論

【チャンスを作る5つのスキル】好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心

経験を積む【キャリア学習理論】

3つ目は経験を積むことです。

人生経験(仕事経験・人間関係・成功体験・失敗体験など)が足りない若者は、まずは経験を積むと良いという話です。

「将来の夢」や「なりたい仕事」って、実は過去の経験に影響を受けるものなんです。

こんな人いませんか?

先生

恩師の先生にあこがれて、私も先生を目指したのよ

レスキュー隊員

災害で救助された経験からレスキュー隊員を目指したんだ!

こんな感じで、過去の経験はその人の目標やキャリアにめちゃめちゃ大きな影響を与えるんですね。

専門的にはキャリア学習理論って言います。

様々な「経験を学習する」ことで、私達の価値観や目標が定まっていくんです。

経験の少ない若者の場合は、とにかくいろんな経験をすることが大事です。

ポイント

「人の価値観や目標は過去の経験に影響を受けるので、若者はたくさん経験を積んだ方が良い

キャリア学習理論

成功体験を積む【認知的キャリア理論】

4つ目は成功体験を積むことです。

さきほど「たくさん経験を積もう」と言いましたが、経験の中でも『成功体験』が特に大事なんです!

だって成功すると自信がつきますからね。自信がある人の方が目標に向かって頑張れるでしょ?(自信があり過ぎてもダメですが(笑))

この自信のことを教育用語で「自己肯定感」って言います。

自分を肯定できること(=自分を認める、自分ならできる!)はその人の成長にとても大切です。

時には「失敗体験」も大事ですけど、失敗してばかりだと自信を失うこともあります。自信のない人ほど成功体験を優先するようにしましょう。

成功体験を積むポイントは、ちょうど良いレベルの目標設定をすることです。目標は高過ぎても低過ぎてもだめです。

また、「他人から褒められる」ことも自信につながりますね。大人の皆さん、自信のない子はできるだけ褒めてあげてくださいね!

成功体験・自己肯定感が大事という考えは、専門的には認知的キャリア理論と呼ばれます。

「自分ならできる!」と認知する(自覚する)ことが、キャリアに良い影響を与えるんですね。

ポイント

成功体験を積むことで自己肯定感が高まり、将来のキャリアに良い影響を与える」⇨認知的キャリア理論

【ポイント】①ちょうど良いレベルの目標設定をする、②他者から褒められる、③自信がない人ほど成功体験を優先する

理想の人物や成功モデルを見つける【モデル理論】

5つ目は理想(憧れ・尊敬)の人物成功モデルを見つけることです。

皆さんには理想の大人、憧れの先輩、尊敬する歴史上の偉人などはいませんか?

あなたは、理想とする人物の考え方や生き方に心を動かされているはずです。そこに、あなたが持っている価値観のヒントがあります。

つまり、理想の人物との出会いには、あなたの「目標をはっきりさせる効果」があるんです。

さらに、もっと身近に成功モデル(キャリアの模範となる人物)がいると、さらに目標がはっきりとイメージしやすくなります。

高校生

先輩が〇〇大学に受かった!私も〇〇大学の受験、頑張るぞ!

みたいな感じですね。

「先輩が大学に受かる」ことで、「自分が大学に受かる」というイメージが持ちやすくなるわけです。

専門用語でモデリング(代理学習)と言い、これをモデル理論と呼んでいます。

もしあなたが高校生なら、具体的なアドバイスが2つあります。

1つ目は、あなたの学校の過去5年分の進路実績を調べてみることです。

先輩の進路を見ることは、自分の進路を見つけるきっかけになるかもしれません。

2つ目は、志望校や志望企業に足を運ぶことです。

マンガ「ドラゴン桜」でも、東大受験を目指す生徒達が東大のキャンパスに足を運ぶシーンがあります。

その場所に立つことで、自分がその進路に進むイメージが湧きやすくなります。

その学校や企業で活躍する人と接することで、自分がそこに所属するイメージが身近になるんです。

ポイント

「理想の人物や成功モデルを見つけることで、目標がはっきりする」⇨モデル理論

【高校生へ】①過去5年分の進路実績を調べる、②志望校や企業に足を運ぶ

自分を知る

6つ目が自分を知ることです。

将来の進路を決めるためには、自分についてしっかりと知っておく必要があります。

これは奥が深いので、後日別記事で解説しますね。

社会を知る

7つ目が社会を知ることです。

若者の場合、職業・働き方・キャリア形成・お金・ワークルールなど、社会について知らないことがたくさんあると思います。

現実的に、社会理解なくして自分の夢や進路を語ることはできません。高校生や大学生の皆さんはもう夢見る小学生ではないので、どんどん現実を見ましょう。

社会に目を向けるため、高校生レベル向けでいくつか解説しています↓

信頼できる人に相談する【キャリア・カウンセリング】

8つ目は、信頼できる人に進路相談することです。(キャリア・カウンセリングといいます)

というのも、誰かに悩みを聞いてもらうことで自己理解が深まり、問題解決につながるからです。

あれ?話しているうちにすっきりしちゃった!(笑)

なんて経験はないですか?自分の気持ちを口にしているうちに、自分の考えがはっきりしてくるんですね。

これはカウンセリングの基本です。

迷ったときは、自分が信頼できる大人を見つけて相談してみましょう。

相談者を選ぶポイントは「できるだけ信頼できる第3者に相談すること」です。

これは奥が深いので後日、別記事で解説します。次のような人は避けましょう。

  1. 話を聞いてくれない人(これは論外
  2. 進路について正しい知識を持っていない人
  3. 無責任で一方的なアドバイスをする人
  4. 身近すぎて感情的になってしまう人(特に親
  5. 利害関係のある人

気を付けて欲しいのは親や先生へ相談すること。中には5つ全部当てはまっている・・・なんて人もいるのでは?

逆に、こんな人がいたら最高です。

  1. 話をしっかりと聞いてくれる人
  2. 進路に対する正しい知識がある人
  3. あなたの意志を尊重してくれる人
  4. 身近すぎず冷静な人
  5. あなたがどんな選択をしても利害関係がない人

ポイント

「信頼できる人に相談することで問題解決につながる」⇨キャリア・カウンセリング

【相談者を選ぶポイント】できるだけ信頼できる第3者に相談する

夢を探さない【最終手段:キャリア発達理論】

ラストは、今まで説明した1~8を全てやっても目標が定まらない人のための最終手段です。

9つ目の方法は「夢を探さない」です。

もう、究極的には夢とかなくていい!目標がなくたって、人生なんとかなる!って考え方です。

キャリア発達理論を解説した前回の記事でも、若いうちは夢はなくて当たり前という話をしました。

夢がなくても、時間が解決してくれる。霧の中で迷子になっていても、霧はやがて晴れる。そう考えることです。

大人になっても、自分の幸福や価値観や目標を考えずに、その場その場で生きている人はたくさんいますからね。

ただ原則は、よく調べて、よく考え、行動した人の方が成功しやすいものです。

(根拠となる論文:INDIVIDUAL DECISION MAKING BEHAVIOR AND PERSONALITY)

この記事の「方法1、行動する」「方法2、チャンスを作る」でも解説していますが、何も調べず何も考えず、行き当たりばったりで行動するのはオススメしません。

高校生や大学生の進路を見ていると、多くの人があまり調べもせずに進路を決めて、そして失敗していきます。だからよく調べてよく考えるのが基本なんです!

ただ、現実的には全ての人がいつも夢や目標を持って生きることができるわけではありません。考えたってどうにもならない時もたくさんあります。

そんなときは、「今はそういう時期」と割り切ってしまうのも悪くありませんよ。

ポイント

「どうしても夢や目標が分からない人は、夢を探さなくて良い」⇨キャリア発達理論

【注意点】基本はよく調べてよく考えた方が良い

まとめ

本記事では、将来の目標を決めるための9つの方法を、専門家としての意見を踏まえながら解説しました。

まとめ

  1. 行動する【キャリア・ドリフト理論】
  2. チャンスを自ら作る【プランド・ハップンスタンス理論】
  3. 経験を積む【キャリア学習理論】
  4. 成功体験を積む【認知的キャリア理論】
  5. 理想の人物や成功モデルを見つける【モデル理論】
  6. 自分を知る
  7. 社会を知る
  8. 信頼できる人に相談する【キャリア・カウンセリング】
  9. 夢を探さない【最終手段:キャリア発達理論】

最後まで読んでいただきありがとうございました。

皆さんの将来の目標が決まる助けになれたら嬉しいです。